腎臓病
(腎機能障害・慢性腎不全)
腎臓は、体内の老廃物を尿として排出するほか、体内の水分やイオンの調節、赤血球産生の調節、酸性・アルカリ性バランスの調整、不要なホルモンの不活化など重要な働きを担っています。腰部上方に2つ左右にあり、約10cmの大きさの臓器です。高血圧や糖尿病、腎炎などによって腎臓組織障害が進むと、血液を濾過できず老廃物などが滞留してしまいます。この状態を腎不全と言います。
腎不全の症状
腎不全は、腎臓機能が低下して、老廃物が溜まってしまい排出が十分に行えない状態を指します。腎不全になると、以下のような症状が起こります。
- 尿毒症の症状が現れる
- 高カリウム症状が現れる
- 体内の水分が過剰に溜まって心不全を起こす
- 血圧が上がる
- エリスロポエチンの分泌低下によって貧血を起こす
- 血中のカルシウムが減って骨が脆くなる
など
尿毒症の症状
- 全身の倦怠感
- 思考力低下
- 不眠
- 頭痛
- 怒りっぽい
- 頭痛
- 食欲低下
- 吐き気
- 痒み
- 皮膚が黒くなる
- 口臭
- 高血圧
- 尿量が減少する
- 水が溜まる
- 浮腫み
- 息苦しい
など
高カリウム症状
腎不全によって、尿からカリウムが排出されずに血中に溜まってくると、血中濃度が高くなり心不全に至ることがあります。また、高カリウム状態であっても無症状の場合があります。
- 手足の痺れ
- 唇の痺れ
- 口の強張り
- 全身の倦怠感
- 胸が苦しい
- 脈が乱れる
- 意識が無くなる
- 心臓が止まる
など
腎不全の進行症状
腎不全が進行すると、以下のような症状が現れます。
- 息切れがする
- すぐに疲れる
- 排尿量が減る
- 食欲低下
- 浮腫み
- 高血圧
- 高カリウム血症
- 貧血
治療をせずに放置することでそのまま死に至ることがあります。
腎不全の場合、血液透析やCAPD(連続携行式腹膜透析)・腎移植治療を検討します。
腎不全のステージ
腎不全は、5つのステージに区別され進行していきます。最も軽度をステージ1とし、最も重度の末期腎不全の状態をステージ5とします。ステージ5にまで進行すると、腎代替療法を行います。腎代替療法には、腎臓自体の提供を受ける腎移植と、腎臓機能を担う人工透析療法の2種類があります。
腎臓病
(腎機能障害・慢性腎不全)
の検査・治療
慢性腎不全などの腎臓病の治療は、主に病気の進行を阻止することが目標です。降圧剤や利尿薬、カリウム吸着薬、ステロイド・免疫抑制剤、リン吸着薬、漢方薬などによる薬物療法のほか、食事療法などを行います。
尿検査
尿中のたんぱく・白血球・糖・潜血などを調べます。比重も測定し、腎臓機能低下や病変などを検査します。
たんぱく尿
尿たんぱくがある場合は腎機能低下の状態と判断されます。ただし、健康な状態であっても風邪を引いたり、激しい運動をした後などは一時的に尿たんぱくの数値が高くなることがあります。
微量アルブミン尿
尿中にアルブミンが確認された場合、糖尿病の初期段階の可能性があります。
潜血反応
尿中に血液が混じっている状態を尿潜血と言います。肉眼で確認できなくても尿中に赤血球が混じっている場合もあります。この場合、腎炎の可能性が考えられます。
尿糖
血糖値が高い状態が長く続くと、尿中の糖も確認されます。尿糖が検出された場合は、糖尿病の可能性があります。
血液検査
血液検査を行うことで腎臓の状態を確認できます。血液中にカリウムやナトリウム、血清尿素窒素(BUN)、血清クレアチニン(Cr)などの数値が高い状態では、腎障害が起きている可能性があります。
・血清クレアチニン
クレアチニンとは、筋肉から排出される老廃物の一つです。腎臓機能が低下している場合、このクレアチニン血中濃度が高くなります。腎臓病の診断に用いられます。
血清尿素窒素(BUN)
血液中に含まれる窒素量が、血清尿素窒素(BUN)です。通常、尿素は腎臓でろ過されて排出されます。しかし、腎臓機能が低下していると尿素が排出されずに血中での尿素窒素数値を上げてしまいます。
その他の検査項目
カリウム・ナトリウム・カルシウム・ヘモグロビン・クロール・ヘマトクリットなどの数値異常がある場合、腎臓機能の低下や造血ホルモン異常が起きている可能性があります。
健康診断で腎機能障害を
指摘された方へ
通常の健康診断や人間ドックでは、尿たんぱくや血清クレアチニン数値などの項目は確認できます。このため、健康診断で上記数値に異常がみられた場合や指摘された場合には、早めに当クリニックまでご相談ください。